独ケルンで開催中のgamescom 2026の開発者向けカンファレンス「gamescom dev(ゲームスコム・デブ)」が8月24日(現地時間)、インディー部門4賞とスピーカーズ・チョイス部門2賞の計6部門の受賞作・受賞者を発表した。司会はMarkus Wildingが務めた。

ビジュアル優秀賞——『MUTTER』(DeadlyCrow Games)
チリ・サンティアゴのDeadlyCrow Gamesが開発中のホラーゲーム。第二次世界大戦勃発直後の英国の農村を舞台に、父が戦地へ旅立った後に残された9歳の少年マドックス・ホロウェイが、徐々に怪物へと変貌していく母親とともに生き延びる物語を描く。ストップモーション技法で実現した触感的なビジュアルが独特の雰囲気と感情的緊張感を強調しており、単純なジャンプスケアより長く心に残るサスペンスと余韻の伝達を重視した設計だという。現在Steamで無料デモ配信中。
革新賞(Epic Games協賛)——『PRAVDA(concept25)』(Floating Stone Studio)
全体主義体制下での報道活動を題材にしたナラティブ・ステルスパズルゲーム。体制から「嘘つき」の烙印を押された主人公サガが抵抗軍を助けるため活動する。夜は外出禁止令が敷かれた街を歩き回って噂・写真・失踪者の痕跡を収集し、昼はその情報を元に「事実ではなく構成された真実」を組み立てて物語を完成させる。Epic Games協賛の本賞受賞チームには3,000ユーロの賞金が贈られた。
最有望ゲーム賞——『Cards & Cannons』(Flamehead Games)
ベルリン拠点の6人開発チームによるデビュー作。デッキビルディング×ローグライト×タワーディフェンスを融合させた本作は、プレイヤーが自ら世界を構築して防衛施設を配置・強化しながら、毎回新たに生成されるカードと組み合わせで押し寄せるモンスターとボスを撃退する。審査委員はカートゥーン風ビジュアルとシェーダーが調和した独特のアートスタイルと、ゲーム全体に溶け込んだユーモアと想像力を高く評価した。今年のドイツコンピューターゲーム賞(DCP)新人部門の最優秀プロトタイプ候補にもノミネートされていた。
最優秀サウンドデザイン賞——『INVASIA』(Rocat Games)
オリジナル小説6巻シリーズを原作とする3人称SFサバイバルホラー。傭兵PMC契約者フランク・コルトンが研究船クラウゼヴィッツ号で冬眠から目覚めると、船全体が寄生感染体に覆われていた。『Dead Space』『バイオハザード』『The Callisto Protocol』の影響を受け、映画『The Thing』とH.R.ギーガーからインスパイアされたボディホラー要素も取り入れている。Unreal Engine 5.6採用。リリース日未定。
ゲームデザイン優秀賞(スピーカーズ・チョイス)——『Blue Prince』(Dogubomb / Raw Fury)
2025年4月リリースのDogubombのデビュー作。常に形が変わるマウントホリー邸を探索しながら隠された46番目の部屋を探すパズルアドベンチャーで、リリース以来2025年を代表するパズルアドベンチャーとして継続的に言及される高評価作だ。本賞は通常の審査委員ではなくgamescom devの登壇者コミュニティの直接投票で選ばれた点に意義がある。
アンバサダー賞(スピーカーズ・チョイス)——Amir Satvat
テンセントゲームズでビジネスデベロップメント・ディレクターを務めるAmir Satvat。自身が設立したASGC(A Support Group for Creatives)を通じてゲーム業界従事者向けの無料サポートネットワークを運営し、業界全体の変化と不確実性が増す中でもキャリア支援・コミュニティ活動・実質的なサポートを継続してきた功績が評価された。登壇者コミュニティの投票で選出


編集部コメント
今年の受賞作のラインナップが示すのは、「奇抜なコンセプトを真剣に完成させる」インディーゲームの多様性だ。ストップモーションホラー・全体主義下の報道・デッキビルディング×タワーディフェンス・SF寄生ホラーという4つの受賞作に共通するのは、それぞれのコンセプトが視覚・ゲームデザイン・サウンドのいずれかの次元で抜きん出た完成度を持っているという点だ。
スピーカーズ・チョイスで『Blue Prince』を選んだのが一般審査委員ではなくgamescom dev登壇者コミュニティであるという事実は、開発者コミュニティがゲームデザインの誠実さをどう評価するかという一つの指標として読める。アンバサダー賞のAmir Satvatの選出も、業界の厳しい状況の中で具体的なサポートを継続してきた人物への連帯の表明として機能している。
全受賞一覧
| 部門 | タイトル / 受賞者 | 開発元 |
|---|---|---|
| ビジュアル優秀賞 | MUTTER | DeadlyCrow Games(チリ・サンティアゴ) |
| 革新賞(Epic Games協賛) | PRAVDA(concept25) | Floating Stone Studio |
| 最有望ゲーム賞 | Cards & Cannons | Flamehead Games(ドイツ・ベルリン、6人チーム) |
| 最優秀サウンドデザイン賞 | INVASIA | Rocat Games |
| ゲームデザイン優秀賞(スピーカーズ・チョイス) | Blue Prince | Dogubomb / Raw Fury |
| アンバサダー賞(スピーカーズ・チョイス) | Amir Satvat | テンセントゲームズBD Dir. / ASGC設立者 |