『シャドウラン』3部作と『BATTLETECH』で知られる米シアトルのインディースタジオHarebrained Schemesが、新作『GRAFT(グラフト)』の初のストーリートレーラーを7月17日開催のConvergence Games Showcase 2026で公開した。パラドックス・インタラクティブとの決別を経て2024年に独立スタジオとして再出発した同スタジオにとって、独立後初のタイトルとなる。現在SteamおよびEpic Games Storeにてウィッシュリスト登録受付中。正式リリース日は未定。
死にゆく宇宙ステーション「アーク」——テセウスの船が問いかける自己同一性
舞台は死にゆく巨大構造物「アーク(Arc)」。絶えず変形し続ける空間のなかで、プレイヤーは悪夢のような生存の旅を繰り広げることになる。
本作最大の特徴がタイトルと同名の「グラフト(Graft)」システムだ。プレイヤーは倒した敵やアーク各所で発見した身体部位を自分の体に移植し、新たな武器と能力を獲得できる。腕や内臓がそのまま戦闘能力になるという独特の成長方式だ。
しかし強力な能力には代償が伴う。身体を移植するたびに、見知らぬ記憶と感情が流れ込んでくる。一度も会ったことのない人への郷愁や、説明のつかない暴力的な衝動——他者の記憶がプレイヤーの精神を少しずつ侵食していく。これらの記憶の断片をどう受け止めるか、その選択の代償をどう抱えるかは、すべてプレイヤーに委ねられている。
「身体を替え続ける自分は果たして同じ存在なのか」——テセウスの船のパラドックスを想起させる哲学的主題がゲーム全体を貫いている。
生存者さえ信じられない——選択が運命を変える関係性の物語
アークにはプレイヤー以外にも生存者たちが存在する。彼らと協力して危機を乗り越えることも、関係をより深く発展させることもできる。しかし生き残った者はそれぞれの目的と秘密を抱えており、いつでも裏切り者になりうる可能性を秘めている。プレイヤーも例外ではない。
誰を信じ誰を切り捨てるかによって物語の展開と登場人物たちの運命が変わる選択ベースのナラティブが、ゲーム全体に張り巡らされている。
限られた弾薬と資源で生き延びる——クラシックなサバイバルホラーの緊張感
戦闘は弾薬と資源を節約しながら生存するクラシックなサバイバルホラーの緊張感を継承している。太古の実験体、奇怪な怪物、狂気に囚われたAIの配下が絶えずプレイヤーを追跡する。制限された資源をどう活用するかが生存の鍵となる設計だ。
アイソメトリック視点の3DグラフィックスでSF・サイバーパンク・ディストピアの雰囲気を色濃く表現している。
パラドックスを離れ、再び自分たちのゲームへ——Harebrained Schemesの軌跡
Harebrained Schemesは2011年にJordan WeismanとMitch Gitelmanが米シアトルで設立。モバイルゲームを皮切りに『Shadowrun Returns』『Shadowrun: Dragonfall』『Shadowrun: Hong Kong』『BATTLETECH』を送り出し、深みのある世界観と戦略性を持つRPGデベロッパーとして名声を確立した。
2018年にパラドックス・インタラクティブに買収されたが、2023年の『Lamplighters League』の低調な商業成績と組織再編を経て、2024年に独立スタジオとして再出発を果たした。
『GRAFT』は独立後初の新作であり、従来の戦略RPGから離れてサバイバルホラーというジャンルに挑む象徴的な作品となっている。
編集部コメント
Harebrained Schemesがパラドックスとの決別後に選んだジャンルが「身体移植で他者の記憶を吸収するサバイバルホラーRPG」というのは、スタジオ自身の再起動という文脈とも呼応しているように読める。
「他者の身体を取り込む」という行為が能力の強化であると同時に自己同一性の喪失でもあるというシステムの設計は、純粋なゲームメカニクスとして機能するだけでなく、物語テーマとも有機的に繋がっている。アートディレクションへの信頼は海外コミュニティでも一貫して高く、独立後初作品として注目度は申し分ない。正式リリース日の発表を待ちたい。









