ベルギー・ワロン地域のインディースタジオBadass Mongooseが開発する白黒パズルアドベンチャー『Helix: Descent N Ascent(ヘリックス)』が、7月23日にSteamとNintendo Switchで同時リリースされる。当初5月リリースを目指していた本作は、Steamデモが高評価を獲得した後、コンテンツの強化とNintendo Switch版の完成度向上のためリリースを延期した経緯を持つ。現在Steamデモは63件のユーザーレビュー中98%が肯定的な評価を獲得し、「非常に好評」を維持している。
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ベルギー漫画の黄金期に根ざした、徹底したモノクロの世界
ベルギーは長きにわたり世界の漫画文化の中心地のひとつとして君臨してきた。エルジェやアンドレ・フランカンといった20世紀欧州漫画の黄金期を築いた巨匠たちを輩出したこの地から、フランコ・ベルギー漫画の感性を現代的に再解釈した新作ゲームが姿を現した。
本作を最初に特徴づけるのは、徹底したモノクロビジュアルだ。これは単なるスタイル上の選択にとどまらず、ゲーム全体の雰囲気とアイデンティティを構築する核心的な要素として機能し、独自の世界観を完成させる重要な役割を果たしている。
開発チームは1980年代の白黒インディーコミック、1990年代の日本漫画、そしてフランコ・ベルギー漫画の黄金期である1970年代の作品群からインスピレーションを受け、独自のアートスタイルを完成させた。手描きを思わせるグラフィックスと強烈な明暗のコントラストが、本作ならではの空気感を作り出している。
音楽が先、ゲームが後——Jim Guthrieを軸に設計された作品
通常、ゲームを完成させてから音楽を当てはめるのが一般的な制作手順だが、Badass Mongooseはこれを逆転させ、作曲家Jim Guthrieの音楽を中心に据えてゲーム全体を設計した。開発チームは「ゲームのために音楽を作ったのではなく、音楽を念頭に置いてゲームを開発した」と説明している。
Jim Guthrieは『Superbrothers: Sword & Sworcery EP』で世界的な注目を集めたインディーゲーム音楽の作曲家だ。その後も『Below』『Nobody Saves the World』の音楽を手がけ、独特の幻想的かつ緊張感のあるサウンドで高い評価を受けてきた。
本作においても彼の音楽は単なるBGMではなく、ゲームの雰囲気と感情を牽引する核心的要素として機能している。
言葉を使わず語る、アイデンティティと孤独の物語
『Helix』はセリフよりも演出と雰囲気で物語を伝える手法を選んでいる。
孤独な旅を続けるプレイヤーは、やがて自分自身の行動を映し出すかのようなドッペルゲンガーと遭遇する。この正体不明の存在が協力者なのか敵対者なのか——その真実はゲームを進めるなかで少しずつ明らかになっていく。
ゲームは説明過多な演出を排し、白黒のアートワークと生きているかのように動く2D背景、そして音楽を通じてアイデンティティ、孤独、関係性についての感情を描き出す。そこに忘れられた文明の痕跡と記憶を探索するプロセスが加わり、物語に厚みを持たせている。
デモから高評価——ベルギーインディースタジオの初挑戦
『Helix』は、セドリック・ド・ミュレナールとジリアン・サンポンが設立したベルギーのインディースタジオBadass Mongooseのデビュー作だ。
2024年5月に初公開された後、2026年2月のSteam Next Festでデモを公開。独創的なビジュアルと雰囲気、音楽性で高い評価を獲得した。現在Steamデモのユーザーレビューは98%の肯定評価を維持している。
開発規模こそ大きくはないが、強烈なビジュアル、著名作曲家とのコラボレーション、段階的に拡張していくパズルシステム、そして感情的な物語を組み合わせ、高い完成度を目指している。また、ワロン地域政府のRayonnement Wallonie助成金とWallimageの支援を受けて開発を進めており、安定した制作環境を確保している点も注目に値する。
編集部コメント
フランコ・ベルギー漫画の伝統を下敷きにしたモノクロビジュアルは、欧州インディーシーンならではの説得力を持つ。『LIMBO』や『INSIDE』が切り拓いた「言葉に頼らないアトモスフェリック・パズルアドベンチャー」の系譜に連なりながら、音楽を起点にゲームデザインを組み立てるという制作アプローチが本作の独自性を支えている。
Jim Guthrieのサウンドトラックという強力な後ろ盾と、デモ段階での98%という高評価は、完成度への期待を裏付けるものだ。ドッペルゲンガーという装置を通じて「自分自身との対峙」を描く物語構造は、ミニマルな表現でどこまで感情の深さを引き出せるかが評価の鍵になるだろう。
「Helix:Descent N Ascent」に関する情報
| アイテム | 内容 |
|---|---|
| 開発会社/パブリッシャー | Badass Mongoose (ベルギー / セドリック・ド・ミュレナエル・ギリアン・サンポント) |
| ジャンル | モノクロ大気パズルアドベンチャー/パズルプラットフォーマー/探検 |
| リリースプラットフォーム | PC(スチーム)/任天堂スイッチ |
| 発売日 | 2026年7月23日 |
| スチームデモレビュー | 非常に肯定的な98%(63) |
| サウンドトラック | Jim Guthrie (Sword & Sworcery・Below・Nobody Saves the World 同じ作曲家) |
| 主な発表 | 2024年5月 / Steam Next Fest February 2026 デモ |
| 財政支援 | ワロニア政府 Rayonnement Wallonie 補助金 / Wallimage |
| 主なキーワード | モノクロ、パズル、アドベンチャー、ドッペルギャング、忘れられた文明、大気、無暴力、ジム・グートリ |
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