開発者の10人に1人が失職。ナラティブ分野に最大の打撃。AIによる代替とプラットフォームの再編がもたらす構造的変化。
2026年 2月 4日 | インディーゲームドットコム 編集部
世界のゲーム業界を襲っている「レイオフ(一時解雇)の嵐」が、韓国のゲーム産業にも深刻な影響を及ぼしている。北米や欧州から始まった大規模な人員削減の波は、今や国内デベロッパーの雇用不安へと繋がり、業界全体に緊張感が走っている。

■ 1. 開発者の11%が解雇を経験―ナラティブ職が最大の苦境に
GDCが発表した「2025-2026 ゲーム産業状況報告書(State of the Game Industry)」によると、過去1年間に開発者の約**11〜17%**が解雇を経験した。特筆すべきは職種による打撃の差だ。
| 職種・分野 | 解雇の経験率 / 影響 |
| ナラティブ(物語・シナリオ) | 19〜20%(全職種で最大) |
| QA(品質管理)・アート・翻訳 | AI代替による大幅な人員削減 |
| ビジネス・財務 | 6〜8%(相対的に軽微) |
解雇の理由としては「組織再編(22%)」や「収益減少(18%)」が挙げられているが、回答者の約19%は「理由の説明すら受けていない」と答えており、雇用環境の不透明さが浮き彫りになっている。
■ 2. モバイル市場の停滞とPCへの回帰
かつて業界の成長を牽引したモバイルゲーム市場は、2024年を境に停滞期に突入した。2026年現在は主要国でマイナス成長を記録するなど、「構造的再編」の時期を迎えている。
- PCプラットフォームの独走: 開発者の**80%**がPC向けゲームを開発中。Steam Deckなどの携帯型PCの普及がこの流れを加速させている。
- 投資の冷え込み: 開発者の**56%**が外部投資を受けられず「自己資金」で開発を続けている。ベンチャーキャピタル(VC)の投資意欲は急激に減退しており、小規模スタジオの存続を脅かしている。
■ 3. 生成AIによる「職種の消滅」とジュニア層の不在
人件費負担を軽減するため、多くの企業が生成AIを開発工程に本格導入したことで、特定の職種が「支援」の段階を超えて「消滅」の危機に瀕している。
- QAとアートの自動化: 大手スタジオではAIベースの自動テスト導入により、テスター人員が30〜50%削減された。原画制作においてもAI活用で外注費が40%以上節減されている。
- 「ジュニアお断り」の現実: 単純な描画やアシスタント業務がAIに置き換わった結果、若手アーティストの新規採用が事実上停止。業界内では「AIの成果物を判断・修正できるディレクター級」のみが求められる歪な構造へと変貌している。
AIは生産性を高める一方で、若手開発者の「成長の梯子」を外しているという指摘も根強い。
■ 4. 韓国ゲーム業界への提言―エコシステム保護の必要性
韓国国内でも海外パブリッシャーとの契約頓挫や投資打ち切りが相次いでいる。特に資金力に乏しい中小・インディーデベロッパーは、この「直撃弾」を避ける術がないのが現状だ。
専門家は「AIによる効率化は避けられないが、それによって業界の人的資源が枯渇してはならない」と警鐘を鳴らす。インディー開発者が業界を去らぬよう、政府レベルの実質的な資金支援や、大手パブリッシャーによるインキュベーション(育成)システムの再構築が急務となっている。
💡 記事のポイント(要約)
- 雇用の二極化: 企画・ディレクション層は維持されるが、作業・検証層はAIに代替。
- PCシフト: 市場の停滞を背景に、高収益なモバイルから安定したPC・コンソールへ回帰。
- エコシステムの危機: 投資減少と採用停止により、次世代の開発者が育たない懸念。
ゲーム業界関係者らは「グローバル構造調整の余波が国内にも本格化する前に先制的な対応が必要だ」とし「特にインディーゲーム開発者が業界を離れないように、政府次元の実質的な支援策と資金力のあるパブリッシャーたちのインキュベーションシステムを設けなければならない時」と声を出している。