韓国の文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院(KOCCA)は、ゲーム利用者の行動と脳の変化を長期間追跡した研究報告書**『2023 ゲーム利用者パネル研究』および『2024 ゲーム利用者臨床医学コホート研究』**を公開した。
今回の報告書は、2019年に世界保健機関(WHO)が「ゲーム行動障害(Gaming Disorder)」を国際疾病分類に登録した問題に対し、客観的かつ実証的なデータを提供するものとして注目を集めている。
■ 「利用時間の長さ」は依存症の決定打ではない
2020年から4年間にわたり児童・生徒および成人を対象に行われた調査の結果、ゲーム利用時間と「問題のある利用(過没入)」との間に直接的な因果関係は見られなかった。
- 脳科学的アプローチ: 脳のMRI撮影を通じた構造・機能検査の結果、ゲーム行動のタイプによって脳の活性化パターンに有意な差は認められなかった。つまり、「長時間ゲームをすることが脳に直接的な障害を引き起こす」という医学的根拠は不十分であることが示された。
- 自然な減少傾向: WHOの診断基準では12ヶ月以上の問題行動の継続が求められるが、今回の調査でこの条件に該当する利用者は確認されなかった。特に、中高生時代に「過没入群(依存リスク)」と判定された利用者も、成人になる過程でその多くが一般ユーザーへと変化しており、成長に伴い自然に解消される現象であることが示唆された。
■ 重要なのは「環境」と「社会性」
報告書では、ゲームの利用形態を左右するのは利用時間ではなく、**「自己効力感」や「周囲との関係性」**であると分析している。
- オフラインのつながり: 兄弟姉妹と一緒にゲームを楽しんだり、オフラインでの社会的な繋がりが豊富な利用者ほど、ゲームを健康的に活用する「善用群」に含まれる確率が高かった。
- 学習満足度との相関: 学業成績への満足度が高い児童・生徒は、ゲームをストレス解消や自己啓発の道具として肯定的に利用する傾向が強かった。
- 集中力の向上: 興味深いことに、ゲーム利用者の注意持続レベルが向上し、多動性が減少すると、依存リスクが低下する傾向が見られた。これは、適切なゲーム利用がむしろ注意力の発達に寄与する可能性を示している。
■ 結論:疾病コード化への慎重な議論を
今回の研究結果は、ゲーム利用障害を単なる個人の「自制心」や「利用時間」の問題として片付けるのではなく、家庭・学校・社会環境といった多角的な視点からアプローチする必要があることを裏付けている。
韓国コンテンツ振興院は、今後も科学的・中立的な調査を継続し、ゲームの肯定的な価値を広めるとともに、健全なゲーム文化の醸成に向けた政策支援を行っていく方針だ。
💡 記事のポイント(日本語解説)
- 脱・時間規制: 「ゲーム=時間の無駄・依存の元」という短絡的な見方に科学的な反証を提示しました。
- ライフサイクルの影響: 成長過程で自然に治まるというデータは、過度な医療的介入への警鐘となります。
- ポジティブな活用: 集中力向上や社会的交流といった、ゲームが持つ「善用」の側面を強調しています。

