ベルリンのインディースタジオSelkies Interactive(セルキーズ・インタラクティブ)のデビュー作『Echoes of Mora(エコーズ・オブ・モラ)』が、9月21日にSteamでPC版として正式リリースされた。VR対応版は追って追加予定だ。
『Echoes of Mora』は水に沈んだ村の廃墟を舞台に、行方不明になった兄を探す少女モラの物語を描く1人称ナラティブアドベンチャーだ。開発社は『ウィリアム・エディス・フィンチの遺産(What Remains of Edith Finch)』『イーサン・カーターの失踪(The Vanishing of Ethan Carter)』『ライフ イズ ストレンジ(Life is Strange)』などから作品のインスピレーションを得たと紹介している。
ゲームはカートゥーン風グラフィックスではなく写実的で叙情的なビジュアルを前面に押し出した点が特徴だ。落ち着いたサウンドデザインと水面下に沈んだ廃村の風景を組み合わせ、静かでありながら切ない雰囲気を演出する。
呪われた湖と時間を渡り歩く二人の姉妹の物語
物語は、呪われた紫色の湖付近で兄が行方不明になったモラが、その痕跡を探しに出かけるところから始まる。数日後に残されたのは水に沈んだ村の痕跡だけだった。
プレイヤーは水没した通りと静まり返った家々を探索しながら失踪事件の手がかりを見つけていく。村各所には「エコー(Echoes)」と呼ばれる時間のポータルを発見でき、ポータルを通じて欠片を集めれば洪水が発生する前の過去へと移動できる。
過去の村でプレイヤーを唯一認識できる存在がモラだ。プレイヤーはモラに発見した手がかりを伝え、質問に答えながら、兄の行方を一緒に追跡していく。物語の結末はプレイヤーがどんな選択をするかによって変化する。
脅威のない静かな水没村探索
ゲームはキーボード・マウスまたはコントローラーを使い、自分のペースで水没した村を探索する方式で進行する。
時間制限や命を脅かす敵との戦闘といった要素は排除し、隠された場所と失われた物を見つけながら物語を発見することに焦点を当てている。
「エコー」とともに村の住民たちの日常と兄をめぐる記憶の断片である「トレース(Traces)」も各所で見つけられる。これらをひとつずつ収集しながら村人たちの人生と失踪事件にまつわる物語を組み立てていく。
開発社は約2〜3時間分の短く完結した物語で構成された作品だと説明している。
ベルリンのゲームデザイン専攻生が集まった新生スタジオ
Selkies Interactiveは2023年、ベルリンのゲームデザイン専攻生たちが設立した新生インディースタジオだ。没入感のあるストーリー中心の世界を作ることを目標としており、『Echoes of Mora』はスタジオの最初の作品だ。
作品はHTWベルリンのゲームインキュベータープログラムを通じて開発され、Medienboard Berlin-Brandenburgの支援を受けた。
開発陣は一般的な水中ゲームで見られるような生存の切迫感よりも、発見と驚異に焦点を当てたかったと説明している。特に開発陣自身が経験した閉所恐怖と水中恐怖からインスピレーションを得て、酸素ゲージや追跡戦のようなストレス要素を排除し、緊張感よりも没入感に集中した水中探索を実現した。
gamescomなどで先行披露した水中アドベンチャー
『Echoes of Mora』は正式リリース前からConvergence Game Showcaseやgamescomなど複数のイベントでデモとトレーラーを公開し、関心を集めてきた。
VR専門メディアUploadVRは試遊当時、水中移動が完全に滑らかとは言えなかったものの、没入感のある叙事と幻想的な世界観を肯定的に評価し、ウィッシュリストに追加する価値のある作品として紹介した。
ただし正式リリース直後の現在、Steamユーザーレビューはまだ十分に集計されていない状態だ。Steamでは無料デモも提供されており、正式版を購入する前にゲームの雰囲気と探索方式を直接体験できる。
『Echoes of Mora』は現在SteamでPC版としてプレイでき、VR対応版も近日中に追加される予定だ。叙情的なストーリーテリングとゆったりとした探索を好むプレイヤーであれば、Selkies Interactiveの今回のデビュー作に注目する価値がある。
編集部コメント
「水中ホラーではなく水中アドベンチャー」という設計方針は、開発陣自身が語る通り、閉所恐怖と水中恐怖という個人的な体験から出発しながらも、それを恐怖ではなく静かな驚異へと転換した点に誠実さがある。酸素ゲージや追跡戦を排除するという判断は、水没した世界という素材が本来持つ緊張感を意図的に手放し、探索と発見という別の感情に軸足を置く選択だ。
『エディス・フィンチの遺産』『イーサン・カーターの失踪』という参照点は、環境そのものが物語を語るウォーキングシム系ナラティブアドベンチャーの系譜に本作を位置づけている。ベルリンの学生発スタジオが2〜3時間という短く完結した体験でデビューを飾るという選択は、規模よりも密度を重視した堅実なアプローチといえる。VR対応版の追加と、リリース後のユーザー評価の蓄積に注目したい。
『エコーズ・オブ・モラ(Echoes of Mora) ‘関連情報
| アイテム | 内容 |
|---|---|
| 開発会社 | Selkies Interactive |
| パブリッシャー | Selkies Interactive |
| ジャンル | アドベンチャー、インディーズ、物語ゲーム |
| プラットフォーム | PC(Steam、VR対応予定) |
| 発売日 | 2026年9月21日(PC)、VRバージョンは今後追加予定 |
| 価格 | €14.99 / $14.99 (発売記念10%割引適用) |
| 反応/評価 | 発売直後にスチームユーザーレビュー未集計、発売前デモ反応は概ね肯定的 |
| スチームページ | ショートカット |







