『Cult of the Lamb』が450万本突破。成功の鍵は、政府の支援とパブリッシャーとの信頼関係にあった。

2026年 2月 2日 | インディーゲームドットコム 編集部

「かわいい子羊が悪の教団を運営する」という奇抜なコンセプトで、世界中のゲーマーを虜にした『Cult of the Lamb(カルト・オブ・ザ・ラム)』。開発元の Massive Monster は、わずか数年前までフラッシュゲームを制作していた小規模なチームだった。

■ 1. フラッシュゲーム界のベテラン3名が結成

2016年、Julian Wilton氏、Jay Armstrong氏、James Pearmain氏の3名によって設立された Massive Monster。彼らはフラッシュゲームの黄金期に50以上のタイトルを世に送り出してきたが、プラットフォームの衰退とともに新たな活路を求め、PC・コンソール市場へと舵を切った。

■ 2. 奇跡を起こした「4万ドル」と「パブリッシャーの英断」

彼らの成功には、2つの大きなターニングポイントがあった。

  • 政府の支援(VicScreen): 2020年、地元ビクトリア州政府の VicScreen から約4万ドルの初期資金を獲得。これにより、パブリッシャーを惹きつける高品質なプロトタイプを完成させることができた。
  • Devolver Digital との出会い: 有名パブリッシャー Devolver Digital は、彼らの提示した予算を「これでは足りない」と増額し、開発者がクオリティに集中できる環境を整えた。また、発売後9ヶ月にわたる長期的なサポート体制を構築したことも、後の大ヒットに繋がった。

■ 3. 2026年現在:記録的な成功と「ウールヘイヴン」の登場

2022年の発売以来、本作は累積売上450万本を突破し、9,000万ドル(約130億円)以上の収益を創出した。

最新の動向としては、2026年1月22日に大型拡張パック**『Woolhaven(ウールヘイヴン)』**をリリース。本編に匹敵するボリュームを誇るこの拡張版では、極寒の山々を舞台にした生存システムや、新たな神「Yngya」を巡る物語が展開され、リリース直後から高い評価を得ている。

■ 4. 次世代を育てる「恩返し」のサイクル

成功を収めた彼らは、今やインディーゲームのエコシステムを支える側へと回っている。

  • 「MASS」コワーキングスペース: メルボルンにインディー開発者のための共同作業スペースを設立し、自ら運営。
  • 投資ファンドの設立: ビクトリア州政府と協力し、若手デベロッパーがプロトタイプからリリースまで辿り着けるよう資金支援を行っている。

Massive Monster 主要沿革

出来事
2016スタジオ正式設立
2018『The Adventure Pals』リリース
2022『Cult of the Lamb』発売。1週間で100万本突破。
2025メルボルンに拠点「MASS」設立、Apple Arcade版配信開始。
2026大型拡張パック『Woolhaven』リリース。

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[Massive Monster公式ウェブサイト] https://massivemonster.com/index.html

Jaechung Lim

インディゲームドットコム編集長, 1990年代に「デジタルライフ」および「ゼウメディア」でゲーム専門記者としてキャリアを開始。その後、複数のマーケティング代理店、開発会社、パブリッシャーを経て、バンダイナムコグループにおいて10年以上にわたり、IPを活用したオンラインゲームおよびモバイルゲームの開発ならびにグローバル事業を主導してきたゲーム業界の専門家である。 現在は、国内外のインディーゲームに関するコンサルティングおよびメンタリングを行うとともに、数多くのコンテストや政府支援事業の専門審査委員として活動している。また、Indiegame.com を通じて、健全なゲーム文化の醸成およびスタートアップならびにインディーゲームの発展に尽力している。